大学オンブズマン設立目的(趣旨)
1990年代以降の高等教育における規制緩和や、国公立大学及び研究機関の独立行政法人化などの構造改革路線のもと、大学運営(ガバナンス)の公正性・健全性が問われる事態が相次いでいます。
多くの大学で解雇や配置転換、授業担当はずしなどの権利侵害がおこっており、裁判に持ち込まれたものも少なくありません。私立大学においては競争主義的な大学経営によって、学部・学科改組の際に、コンプライアンス上の問題や権利侵害を生じさせるといった問題事例が多発しています。国立大学では法人化にともない、トップダウンが常態化し、学問の自由とこれに基礎づけられた大学の自治の形骸化が生じています。また、任期制や「評価」制度などを通じて、大学運営(ガバナンス)の公正性・健全性はいっそう損なわれています。高等教育政策は、市場原理にもとづき大学淘汰を促進するものとなっています。
このような状況のもとで、大学運営(ガバナンス)の公正性・健全性の確保を求めることが、日本の大学の未来を創っていくうえで重要な課題となっています。そこで、わたしたちは、市民的な立場から、大学運営(ガバナンス)における不正や違法行為等を調査し改善の勧告を行い、さらに大学関係者(学生、教職員など)の諸権利の擁護のために公的機関を含む関係機関に申し立てや提言を行うことに本格的に取り組んでいきたいと考えるものです。
すでに事態の改善に向けての様々な取り組みがおこなわれていますが、相互の情報交換と交流支援の必要性が求められています。以上のようなことから、ここに大学オンブズマンを設立し、大学運営(ガバナンス)の公正性・健全性を実現する取り組みを進めていきます。
2013年2月2日