大学オンブズマン理事会は、2014年5月24日付で以下のような「申し入れを」を行った。
なお、本書面の公表(ウェブサイトへのアップ)に際して、プライバシー保護のため一部、記述を変更している。
2014年5月24日
学校法人
常葉学園
理事長 木宮 健二 殿
大学オンブズマン 理事会
学校法人常葉学園が設置した懲戒委員会に関して(申し入れ)
2014年5月9日付で、常葉学園本部常葉学園懲戒委員会は委員長名で、巻口氏宛てに「常葉学園懲戒委員会による審査について(通知)」なる書面を送付してきた。それによると同年4月23日付で懲戒委員会が設置され、懲戒委員会による審査を開始するとのことである。委員会が審査の対象とするのは、巻口氏が「……静岡地方検察庁に告訴(結果は不起訴処分)した行為」とされている。
当オンブズマンとしては、以下の点で懲戒委員会には重大な問題点があると考える。貴法人が適切な是正措置を取ることを強く求める。
記
1.書面を見る限りでは「告訴」そのものを処分の対象としているとしか理解できない。そもそも告訴は結果として「不起訴処分」となったとしても市民的権利の正当な行使であり、告訴の行為そのものを処分の対象とすることは明らかな人権侵害である。したがって、何が懲戒処分の審査の対象とされているのかが明確にされる必要がある。
2.貴法人が制定したとする「教職員の懲戒処分の手続きに関する規程」によれば、第3条において「調査」について規定している。しかし、巻口氏に対する「調査」はいっさい行われないまま「審査」が行われようとしている。また、「調査」結果の内容はいっさい開示されていない。このように極めてずさんな手続きは巻口氏の人権を著しく侵害している。「調査」内容の開示を求める。
3.静岡地方検察庁による不起訴処分は事実であるが、現時点で巻口氏を懲戒の審査の対象とすること自体、「常葉学園短大における私学経常費補助金の不正受給」を内部告発した同氏に対する報復であると見做さざるを得ない。巻口氏の内部告発(告訴)は公益通報者保護制度によって保護されるべきものである。
4.懲戒を目的としたこのような委員会の場に、「審査」と称して、合法的な公益通報者である巻口氏の出席を強要しているこの事態は、学校法人常葉学園本部の社会に対する背信行為であり極めて重大である。それは教育・研究機関としての大学の自殺行為であり、「大学の社会的責任」(USR)の放棄と言わざるをえない。
付記:学校法人常葉学園(木宮健二 理事長)は、巻口氏が告訴・告発した内容に対して一片の反省も示さないばかりか、今回、このような内部告発者(公益通報者)への報復的な措置を行おうとしている。全く常軌を逸していると言わざるを得ない。懲戒されるべきは理事長はじめとした学園本部役員である。大学オンブズマンは、こうした事態を広く社会および世論に訴えていく活動を一層進めていく。
以上
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